日本語の語源を知る

日本語の語源を紹介します。日本語は漢字を基本的な素材としてつくられてきた言語です。古事記や日本書紀を読むと、この頃も盛んに言葉がつくられていたことが随所に記載されています。日本語の本質の一端を垣間見るということで、寛大なお気持ちでお読み頂ければ幸甚です。

【はないちもんめの語源】

「ハナイチモンメ」という題名の童謡があり、その歌詞は、普通には、次のように書かれています。

 

勝ってうれしい 花いちもんめ

負けてくやしい 花いちもんめ

あの子が欲しい あの子じゃ分からん

この子が欲しい この子じゃ分からん

 

この歌における「花いちもんめ」は、漢字で「花一匁」と書かれたりしていますが、その意味が分からないことには、歌の意味も理解することはできません。つまり、この歌がどんな意味の歌であるかは「花いちもんめ」とは、どんな意味であるかの解明にかかっています。

先ず、ここでの「はな」が植物の「花」であるかどうかが問題ですが、ここでの「はな」は植物の花のことではありません。花は当て字に過ぎないのです。したがって、この歌では、漢字の花は単なる発音記号としての「はな」と考えなくてはならないのです。
 それでは「はな」とは、いったい何のことかということになりますが、それは喊吶(ハンナ)の多少の訛り読みなのです。一音節読みで、喊はハン、吶はナと読み、共に「叫ぶ」という意味であり、合わせて二字語にしてあるのです。「叫ぶ」とは「大きな声でいう」ことです。

次に、「いちもんめ」ですが、この言葉を漢字書きの「一匁目」と当て字で書くから全然意味が分からなくなってしまうのです。「いち」とは「一起(イチ)」のことで「一緒に」の意味です。一音節読みで、一はイ、起はチと読みます。

「もんめ」の意味になりますと、この遊びは女の子たちの遊びだということを考慮に入れなくてはなりません。盟弟(モンテイ)とは、「義兄弟の契りを結ぶこと」をいいます。これは男の場合ですが、女性の場合は、盟妹(モンメイ)といいます。一音節読みで、盟はモン、妹はメイと読みます。盟妹とは、同じように「義姉妹の契りを結ぶこと」をいいます。義兄弟や義姉妹とは、血のつながりのない、契り(約束ごと)による兄弟や姉妹のことですが、この歌では「仲間」といった程度の軽い意味で考えられています。

以上から、「はな・いち・もんめ」は「喊吶・一起・盟妹」であり、これがこの言葉の語源であり、それぞれの文句の意味は次のようになります。

 ・勝ってうれしい=勝ってうれしいと

・喊吶=大きな声でいいましょう

・一起=一緒に

・盟妹=仲間で

 そうしますと、この歌の意味を、直訳のままで連続して表現すると、次のようなものになります。  

 勝ってうれしいと、大きな声でいいましょう、一緒に、仲間で

 負けてくやしいと、大きな声でいいましょう、一緒に、仲間で

この歌全体の意味は、少し順序を整えて、まとめていいますと「勝ったらうれしい、負けたらくやしいと、仲間で、一緒に、大きな声でいいましょう」になっているのです。

子どもたちは、隣のおばさんにも仲間にならないかと声をかけます。このおばさんは子どもから脱却したばかりの若いおばさんであり、漢字では「小母さん」と書きます。しかしながら、もう子どもは卒業したと思っている小母さんは、子どもの遊びには加わりたくないので、なんだかんだといい訳をしている様子が歌われているのです。それが、次のような歌詞になっています。

  

隣のおばさんちょっと来ておくれ  鬼が怖くて行かれない

お布団かぶってちょっと来ておくれ お布団敗れて行かれない 

お釜をかぶってちょっと来ておくれ お釜が底抜け行かれない  

 

以上のように、この歌の歌詞は、とても子どもらしい無邪気なものであり、後半はとても「面白味にあふれた」もの、英語でいうところのユーモラス(humo rous)なものになっています。