日本語の語源を知る

日本語の語源を紹介します。日本語は漢字を基本的な素材としてつくられてきた言語です。古事記や日本書紀を読むと、この頃も盛んに言葉がつくられていたことが随所に記載されています。日本語の本質の一端を垣間見るということで、寛大なお気持ちでお読み頂ければ幸甚です。

【ありがとう】の語源

 アリガトウは、感謝の気持を表現するときに使う言葉で、英語のサンキュー(thank you)、ドイツ語のダンケ(dan

ke)、フランス語のメルシー(mer ci)、

ロシア語のスパシーバ(Спасибо)、中国語のシィエシィエ(謝謝)の意味です。

 

 一音節読みで、盎はアンと読み、程度が著しいことを表現するときに使われるので、大抵の場合「とても、非常に、著しく」の訳語が適当です。

礼はリと読み「礼儀作法」のことでもありますが、相手の親切、好意、もてなし等に対して感謝の意を表すこともその中に含まれます。礼言は感謝の言葉、あるいは、「お礼をいう」こと、礼物は感謝の意を表すために送る品物のことです。

感はガンと読み「感謝、感謝する」の意味があります。

答はタと読み「答謝、答謝する」の意味です。答謝とは、相手の親切、好意、もてなし等に対して、言葉その他の形で「感謝の意を表示する」ことをいいます。

於はウ、矣はイ、呀はヤと読み、語尾に付く感嘆の語気助詞です。

したがって、アリガタウとは、盎礼感答於(アン・リ・ガン・タ・ウ)の多少の訛り読みであり、直訳すると「とても、お礼すべき、感謝すべき、意を表示します」、簡潔にいうと「とても感謝します」の意味になっていて、これがこの言葉のほんとうの語源です。

アリガタイは、語気助詞が矣に代わった盎礼感答矣であり、歌の文句にもあるアリガタヤは、語気助詞が呀に代わった盎礼感答呀になっています。 

 

 一般に流布されている説では、アリガタイとは「有り難い」、つまり、「有るのが難しい」の意味であるとされています。しかしながら、「有るのが難しい」ということは、極言すれば「ない」ということですから、これをサンキューやダンケの意味に解釈するのは、いかにも無理なことといえます。

また、日常生活において、字義どおりの「有り難いこと」は、「有り得ること」と同じくらいに普通に存在することであり、サンキューやダンケの意味のアリガトウを「めったにないこと」と解釈するのにも疑問符が付きます。ということは、このような説は、インチキ、イカサマらしいことを示しています。 

したがって、この言葉に「有難(ありがた」を当て字することは一向に構わないとしても、その字義を加えて説明することは適当ではなく、誤りといっても過言ではないのです。

 

 枕草子第七五段の「ありがたきもの」には、次のように書かれています。

「舅(しゅうと)にほめらるる婿(むこ)。また、姑(しゅうとめ)に思わるる嫁の君。毛のよく抜くるしろがねの毛抜き。主そしらぬ従者。中略。おとこ、女をばいはじ、女どちも、契りふかくて語らふ人の、末までなかよき人かたし」。

「ありがたきもの」、つまり、字義通りの「有難きもの」とは、ここに挙げられたようなもののことであり、サンキュー、ダンケ、メルシー、スパシーバ、謝謝等の意味ではあり得ないのです。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。