神輿を担ぐときの掛声である【わっしょい】の語源
お祭りで神輿(みこし)を担ぐときの掛声は、大昔から「ワッショイ、ワッショイ」といってきました。神輿はけっこう重いので担ぐのに気合を入れるためもありますが、祭を盛り上げるための掛け声でもあります。
ところが、なぜワッショイというのか、大昔からその理由が尋ねられてきたので、学者や多くの文人が、ああだこうだといってきたのですが、いっこうに要領を得た説明はされてこなかったのです。
そこで、困ったときの行き着く先として、「朝鮮語からきた言葉だ」という学者もでてくる始末なのです。日本語の学者世界では、日本語で説明のできないものは、先ずはアイヌ語、次に朝鮮語やインド語由来にされてしまう傾向があります。はては、なんの意味もない単なる囃子言葉、或いは、意味が分からなくてよい幼児語、一般人には窺がい知れない女房言葉、遊郭言葉、ヤクザ言葉にされたりするのです。しかしながら、いずれの言葉にもちゃんとした意味があるのです。
さて、この言葉の語源をいいますと、一音節読みで、旺はワン、盛はションと読み、共に「旺盛(おうせい)に、盛んに」、溢はイと読み「旺溢(おういつ)した、あふれるほど盛んに」などの意味があります。つまり、この三字はいずれも「盛んに」の意味があります。したがって、ワッショイとは、旺盛溢(ワン・ション・イ)の多少の訛り読みであり、直訳すると「盛んに」の意味になり、これがこの言葉の語源です。
旺盛溢の意味を汲んで少し表現を変えていうと「元気一杯に」などのような意味になり、実際の囃子言葉として通じる意味のものに訳するとすれば、例えば、「やるぞ、やるぞ」、「いくぞ、いくぞ」や「それいけ、それいけ」のようなものになるでしょうか。