日本語の語源を知る 〜目からうろこの語源書〜

プロフィール: 江 副 水 城(えぞえ みずき)、 出身地:熊本県 、学歴: 東京大学 法学部卒 、 趣味:麻雀、言語研究 、著書:『魚名源』 『鳥名源』 『獣名源』 『蟲名源』 『草木名の語源』

【あいさつ】の語源

 「お早うございます」、「今日は」、「今晩は」、「さようなら」などを相手に対していうことを「あいさつ」といいます。

漢字では挨拶と書き、時候の挨拶、新任の挨拶、初対面の挨拶、披露宴の挨拶などいろんな挨拶があり、挨拶状などとも使います。

 一音節読みで、挨はアイ、拶はザと読むのですが、その字義は共に「強制する」の意味であり、したがって、挨拶も当然に「強制する」、英語でいうところのforceやcompelの意味になります。このことから、挨拶の漢字は、類似した発音を利用するための単なる当て字に過ぎないことが分かります。

 

 そうすると、アイサツとはどういう意味で、どういうことから出来た言葉なのでしょうか。

 一音節読みで、唉はアイと読み、「もしもし」、「おい」、「やあ」、「はい」などの呼掛けや応答の声のことを意味します。嗓はサンと読み、喉から出す「声」のことですが、二字語の名詞にして嗓子と書きます。「子」は「ツ」と読みます。

 

 したがって、アイサツとは、唉嗓子(アイサンツ)の多少の訛り読みであり、直訳すると「呼掛けや応答の声」の意味になっており、これがこの言葉の語源です。

 

 

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【さようなら】の語源

 「さようなら」という言葉は、英語ではgood-bye(いつも、お元気で)の他にsee you again(また、会いましょう)、ドイツ語ではauf wiedersehen(また、会いましょう)、中国語では再見(また、会いましょう)となっています。

 

 日本語の「さようなら」は、「さようならば、これでお別かれしましょう」の「ば」以下が省略された言葉であると喧伝されています。

 

 しかしながら、実は、日本語でもやはり、「また、会いましょう」の意味になっています。

一音節読みで、再はツァイと読むのですが、日本語では少し訛ってサイと読まれ「また、ふたたび」の意味です。要はヨウと読み「望む、希望する」の意味があります。奈はナと読む人称代名詞で二人称を指し「きみ、あなた」のことです。覧はランと読み「見る、会う」という意味です。

 したがって、「サヨウナラ」は再要奈覧(ツァイヨウナラン)の多少の訛り読みであり、直訳すると「また、あなたに会いたい」の意味、つまり、「また、会いましょう」の意味であり、これがこの言葉の語源なのです。

 

 関西や九州では「サイナラ」といいますが、これは、必ずしも必要としない「要」を省いた再奈覧(ツァイナラン)であり、同じく「また、会いましょう」の意味です。

 

 また、「サラバ」という簡潔な言葉がありますが、これは再覧吧(ツァイランバ)のことであり「また会おうね」の意味です。吧はバと読み、語尾に付く語気助詞です。

 

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【こんにちは】の語源

「コンニチハ」、「コンバンハ」は、

英語では、good afternoon、good evening、

ドイツ語では、guten tag、guten abend、

中国語では、午上好(ウーシャンハオ)、晩上好(ワンシャンハオ)などといい、直訳すると、いずれも「よい午後ですね」や「よい夜ですね」の意味になっています。

 

 日本語の場合には、一般に流布されている説として「今日は、・・・」「今晩は、・・・」と、その後半の部分が省略されたものとされています。

 

 そうすると、例えば、晴れた日であれば「今日は、良いお天気ですね」、雨の日であれば「今日は、あいにくの雨ですね」などの意味になると思われます。

 

 しかし、それでは、後の言葉になんと続くのかを各々の場合について、各人が想像しなければいけないという、不親切で曖昧な表現になってしまい、挨拶としては歯切れの悪い不完全なものとなっていしまいます。

 

 実は、日本語の「こんにちは」の「は」は「好」の字を使った「今日好」、「今晩好」であり、「今日は好い日ですね」、「今晩は好い晩ですね」という意味なのです。一音節読みで、好は「ハオ」と読み、その省略形が「ハ」なのです。

 つまり、「コンニチハ」、「コンバンハ」の「ハ」は好「ハオ」のことであり、一気読みすることにより生ずる省略形なのです。

 

 そうしますと、日本語も外国語と同じように「よい日ですね」、「よい夜ですね」という意味の、論理的な言葉になっていることがわかります。

 

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