【あべこべ】の語源
アベコベは、物事の順序・位置、物事に対する意見・考え方等が、本来のものと、逆さまであることを表現するときなどに使われます。
例えば、「前と後がアベコベだよ」、「その考え方は、アベコベではないか」などと使います。したがって、アベコベのアとコとは、指示代名詞らしいことが想像されます。
日本語で、指示代名詞と言われるものに、「あれ」、「それ」、「これ」があります。面白いことに、これらの指示代名詞の頭文字だけを合わせると「あそこ」や「そこ」になっています。
さて、漢語では、「あれ」と「それ」の区別はなく、日本語の「あれ」と「それ」に相当する語は、いずれも那(ナ)です。また、「どれ」に相当する語も那(ナ)です。「これ」に相当する語は這(チォ)といいます。
このようなことから、アベコベのアとコは、漢語ではなく、日本語の指示代名詞の「あれ」と「これ」らしいことが推測されます。そうすると、アベコベという言葉の意味を決定づけるのは、「ベ」ということになりますが、果たしてどんな意味なのでしょうか。
背は、一音節読みで、ベイと読み「背(そむ)く、違背する、違反する」などの意味です。アベコベの「べ」は、背の多少の訛り読みであるとすると、あべこべは「あ背こ背」になり、「あれは違背しているこれは違背している」、つまり、「あれもこれも違背している」ということになり、これがこの言葉の語源と思われます。
違背とは、違っていて反対であること、つまり、逆さまであることです。したがって、アベコベとは「あれとこれとが逆さまである」という意味になるのです。
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